• コラム

グローバルで採用されているAAFCO栄養基準(ペットフードの総合栄養食)

2023年11月20日

AAFCOとは

AAFCO(The Association of American Feed Control Officials:米国飼料検査官協会/アフコ)はペットフードを含めた飼料の栄養基準やラベル表示に関する基準を設定している米国の団体です。

AAFCOは、1993年にドッグフード・キャットフードの推奨栄養成分を公表しました。子犬期(成長期用)・成犬期(維持期)といったライフステージ別に必要な栄養基準を設定しています。この基準は定期的に見直されており、最近では2016年に栄養成分、2023年7月にラベル表示に関する内容が改定されました。

AAFCO栄養基準とは

必要な栄養素(タンパク質、脂肪などの最低値、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)の下限値や危険性のある原材料の上限値を設定しています。これは乾燥物質基準(DMB:水分を含まない状態)を基準としています。

AAFCOは基準を設定していますが、ペットフードの検査や認定、承認は行っていません。そのため、「AAFCO合格」「AAFCO認定」といった表示がされることはありません。また「AAFCO認定ペットフードメーカー」も存在しません。
ペットフードの検査は、ペットフードメーカーや輸入業者などの企業や、委託を受けた検査機関(Mérieux NutriSciences Japanなど)が実施します。

グローバルで採用されている基準

歴史のあるAAFCOのペットフード栄養基準(ライフステージ別の総合栄養食の基準)は、さまざまな国や地域で取り入れられ、事実上のグローバルスタンダードとなっています。日本においてもペットフード公正取引協議会がこの栄養基準を採用しています。

AAFCO以外に、欧州のペットフード協会や企業で構成された業界団体FEDIAF(European Pet Food Industry Federation:欧州ペットフード工業連合会)も、2008年にペットフード製造に関するガイドラインを定めています。FEDIAFは栄養基準以外に、HACCP(衛生管理システム)導入の製造工場に対する認定も行っています。ペットフードの栄養基準や品質の認定や判定、承認は、AAFCO同様に行っていません。

「AAFCO」と「FEDIAF」の違い

栄養基準や添加物の使用量の基準、ラベル表示のルールが異なります。

(例)

AAFCO基準「鶏肉=チキン」は「チキン」、など原材料の表記に細かい表記義務が定められています
FEDIAF基準原材料に「チキンミール」を「乾燥チキン」と表記しても違反ではないが、「チキンミール」を「チキン」と表記することは認められていません

いずれにしてもペットフードの良し悪しを判断するものではなく、また、「AAFCO基準をクリア」「FEDIAF基準を満たしたフード」といった意味で、犬・猫に必要な栄養素を満たしていることに違いはありません。

ただし、日本国内で「総合栄養食」と表示するにはAAFCO栄養基準を満たしている必要があります。
これは先に記述したとおり、国内で流通するペットフードのルールを策定しているペットフード公正取引協議会がAAFCOの分析基準による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しているからです。

ペットフードの種類

総合栄養食

AAFCO栄養基準を満たす総合栄養食とは、犬や猫が必要とする栄養基準を満たした「毎日の主要な食事」として与えるフードです。そのフードと水だけで、成長段階における健康を維持できるよう栄養素がバランスよく配分されています。
総合栄養食には適応する成長段階が表記されます。

また、基準を満たした総合栄養食には、「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています。」または「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています。」と表記されます。

療法食

犬・猫の疾病治療の内容に合わせて栄養成分を調整し、治療を補助する目的で提供されるペットフードです。「必ず獣医師の指導の下に給与してください。」等の注意書きが、記載されています。

間食

犬や猫のおやつ、しつけのごほうびなどとして与えられるペットフードです。(代表的なものとしてジャーキーやガムなど)間食の表示に替えて、おやつ、スナックなどといった表示をすることもできます。

その他の目的食

特定の栄養を調整する、カロリーを補給する、あるいは嗜好増進などを目的としたペットフードです。「総合栄養食」ではないために、これを補うために与えなければならない食事の内容や量などを明記しなくてはなりません。
「一般食(おかずタイプ)」 「一般食(総合栄養食と与えてください)」「栄養補完食」 「カロリー補完食」 「副 食」 「サプリメント」 と表示する必要があります。

総合栄養食の成分(AAFCO基準)

栄養素単位
子犬成犬子猫成猫
タンパク質%22.5以上18.0以上30.0以上26.0以上
アルギニン%1.00以上0.51以上1.24以上1.04以上
ヒスチジン%0.44以上0.19以上0.33以上0.31以上
イソロイシン%0.71以上0.38以上0.56以上0.52以上
ロイシン%1.29以上0.68以上1.28以上1.24以上
リジン%0.90以上0.63以上1.20以上0.83以上
メチオニン%0.35以上0.33以上0.62〜1.500.20〜1.50
メチオニン+シスチン%0.70以上0.65以上1.10以上0.40以上
フェニルアラニン%0.83以上0.45以上0.52以上0.42以上
フェニルアラニン+チロシン%1.30以上0.74以上1.92以上1.53以上
トレオニン%1.04以上0.48以上0.73以上0.73以上
トリプトファン%0.20以上0.16以上0.25〜1.700.16〜1.70
バリン%0.68以上0.49以上0.64以上0.62以上
脂肪%8.5以上5.5以上9.0以上9.0以上
リノール酸%1.3以上1.1以上0.6以上0.6以上
αリノレン酸%0.08以上0.02以上
アラキドン酸%0.02以上0.02以上
EPA+DHA%0.05以上0.012以上
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA 30:130:1
カルシウム%1.2〜1.80.5〜1.81.0以上0.6以上
リン%1.0〜1.60.4〜1.60.8以上0.5以上
カルシウム︰リン 1:1〜2:11:1〜2:1
カリウム%0.6以上0.6以上0.6以上0.6以上
ナトリウム%0.3以上0.08以上0.2以上0.2以上
塩素%0.45以上0.12以上0.3以上0.3以上
マグネシウム%0.06以上0.06以上0.08以上0.04以上
mg/kg88以上40以上80以上80以上
mg/kg12.4以上7.3以上15.0以上5.0以上
銅(ウェット)mg/kg8.4以上
マンガンmg/kg7.2以上5.0以上7.6以上7.6以上
亜鉛mg/kg100以上80以上75以上75以上
ヨウ素mg/kg1.0〜111.0〜111.8〜9.00.6〜9.0
セレンmg/kg0.35〜20.35〜20.3以上0.3以上
ビタミンAIU/kg5000〜2500005000〜2500006668〜3333003332〜333300
ビタミンDIU/kg500〜3000500〜3000280〜30080280〜30080
ビタミンEIU/kg50以上50以上40以上40以上
ビタミンKmg/kg0.1以上
ビタミンB1(チアミン)mg/kg2.25以上2.25以上5.6以上5.6以上
ビタミンB2(リボフラビン)mg/kg5.2以上5.2以上4.0以上4.0以上
パントテン酸mg/kg12.0以上12.0以上5.75以上5.75以上
ナイアシンmg/kg13.6以上13.6以上60以上60以上
ビタミンB6mg/kg1.5以上1.5以上4.0以上4.0以上
葉酸mg/kg0.216以上0.216以上0.8以上0.8以上
ビオチンmg/kg0.07以上0.07以上
ビタミンB12mg/kg0.028以上0.028以上0.02以上0.02以上
コリンmg/kg1360以上1360以上2400以上2400以上
タウリン(ドライ)%0.1以上0.1以上
タウリン(ウェット)%0.2以上0.2以上

Mérieux NutriSciences Japanでは、「愛玩動物用飼料等の検査法」(独立行政法人農林水産消費安全技術センター:FAMIC)にしたがって、検査を受託しています。
AAFCO(全米飼料検査官協会)が設定している総合栄養食としての栄養基準に対応した検査を実施しています。また、ペットフード安全法で定められた成分規格検査(必須20項目)パッケージもございます。

ペットフード安全法などペットフード検査に関する詳しいFAQ集はこちらをご覧ください。

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